Learning by Blogging.

経営学部で人材育成やリーダーシップ開発、キャリア教育について学ぶ大学5年生のブログ。

ありがちなアイスブレーキングを一工夫!? 具体例からその手法を学ぶ - Learning by アイスブレーキングの事例集。

前回から引き続き、「アイスブレーキング」をテーマにしたいと思います。前回を「TIPS/コツ編」とするならば、今回は「事例編」です。

まずは、前回取り上げた4つのポイントを改めて、おさらいしたいと思います。

f:id:shumpeioe:20170101175404j:plain

アイスブレーキングを効果的に行うための4つのポイント

  1. 参加者、観客の緊張を和らげること
  2. 本編となるコンテンツ、そこから得られる意味付けと一連の流れを持っていること
  3. 本編に対するネタ振り、解説になっていること
  4. その場の雰囲気を見て、アレンジできる余白が残っていること

という4点を、古典芸能の落語から学ぶ形で整理し、お伝えしました。よく設計されたアイスブレーキングは落語の枕と同様に、参加者が本編に入りやすいように、緊張をほぐし、前提を揃え、導いていく役割を果たします。

 

もし、このブログを読んで下さっている方の中で、アイスブレーキングの手法として広く知られている活動をそのまま導入し活用している場合は、より効果的な活動を目指して工夫できるポイントがあるかと思います。

最近では、社会人向けのワークショップ型研修や大学でのアクティブラーニングの授業が増え、こうした広く世の中に出回っているいくつかのアイスブレーキングは定番化し、正直、参加者サイドが飽きを感じていることは否定できないと思います。

 

今日は、上記の4つのポイントを踏まえて、過去に僕自身が考えたアイスブレーキングの事例を2つご紹介したいと思います。

活動をデザインするに当たっての考慮した「背景」「ねらい」「内容」の3つの観点から整理します。

 

事例紹介

チームやクラスのキックオフで実践できるアイスブレーキング

最初の事例は、僕が大学でプロジェクト型授業の学生アシスタントをしていた時のものです。担当するクラスに対して、初回の授業で行ったアイスブレーキングを紹介します。

f:id:shumpeioe:20170102123155j:plain

背景

僕が学生アシスタントとして運営に携わった産学連携のプロジェクト型授業では、教員とアシスタントの学生がペアになり、クラス運営を行います。

受講生は25名程度の学部2年生。一部の学生にとっては必修科目として履修することが義務づけられています。また、受講生同士は面識が浅く、ほとんどがお互いについてよく知らないという状態です。

この授業では、全14回のセッションを通して、クライアント企業/自治体が抱える課題を分析し、改善策を提案します。

そして、その初回の授業で行うアイスブレーキングの設計を担当することになりました。

ねらい

クラスのキックオフで行うアイスブレーキングを考えるにあたって、僕がねらいとして設定したものが次の4点です。

  1. 受講生が可能な限り、一人でも多くの人たちと会話をすることができる
  2. 活動を通して、お互いのことやクラスの雰囲気について知ることができる
  3. 緊張や不安がほぐし、クラスの中に一体感を生むことができる
  4. 必要な情報(出身地や誕生日、部活/サークルなど)を引き出すことができる

ポイントは大きく2つありました。緊張感や不安を取り除いた上でクラスのキックオフを行うこととあらかじめ自然な形でクラス運営を行う上で抑えておきたい情報を引き出すことです。

内容

実施した活動は「匠の里」というアクティビティから要素を抽出し、設計の基礎としました。匠の里についての詳しい説明は、既に簡単にお探し頂けると思いますので、ここでは割愛しますが、抽出した要素については触れたいと思います。

匠の里から抽出した要素とは、「グループのメンバーがそれぞれ異なる情報を持っていること」「他のメンバーと協力をして情報を交換しなければ課題が解決できない」の2点です。

 

以上、2つのポイントを踏まえて設計した活動のプロセスは次のとおりです。

  1. 受講生をグループ分けするために名札を4色用意する
  2. 授業開始時に着席する座席は4色の名札が1人ずつ揃うように指定する
  3. 自分と同じ色の名札を持っている人と自己紹介をする
  4. 当初着席していた座席のグループに戻る
  5. クラス全員の情報がなければ解けない問題を出題する
  6. 制限時間終了後、クラス全体で答えあわせ

実施する上でのポイントは、まず自己紹介で会話してもらう内容をこちらでコントロールすることです。狙いでもあげたクラス運営上に必要な情報を吸い上げることはもちろん、後半で出題する問題にきちんと回答が出せる状態を担保するためです。

そして、この後半部分で出題する問題はクラス全員に関わるものがよいです。僕が実際に行ったものは「誕生日が1番はやい人は誰か?」「名前を50音順に並び替えたときに16番目に来るのは誰か?」「埼玉県出身の人は何人いるか?」などです。

誕生日や出身地に関する問題は、当日になるまでファシリテーションをする僕も答えを知らないため、クラス全員でその場で答えを導いていく感覚が新鮮でした。そのことが一体感を醸成することにも役立っていたと思います。

 

組織や業務の引き継ぎの際に実践できるアイスブレーキング

続いての事例は、僕が以前所属していた学生団体で運営の引き継ぎを行う際に実施した合宿の中でアイスブレーキングです。レゴを使って伝言ゲームをする、その名も「レゴ伝言」という活動を行いました。

f:id:shumpeioe:20170102123520j:plain

背景

かつて所属していた学生団体の代替わりのタイミングで運営体制の引き継ぎを行う合宿を実施しました。

学生団体の運営は、常に上級生の卒業・引退による代替わりが行われます。その都度、ある一定のリズムを持って「引き継ぎ」が行われる訳ですが、この引き継ぎの上手い下手によって学生団体が持続可能な活動を実現できるか大きな分かれ道になると思っています。

この合宿では、幹事として全体の企画・設計を担当しました。

ねらい

「レゴ伝言」の活動を通して、ねらいとしていたことは「引き継ぎを進める中で、気をつけなければいけない注意点に、あらかじめ行う疑似体験を通して気付く」ということです。

伝言ゲームは引き継ぎのメタファになっています。活動の中にさまざまな条件を加えることによって、実際に引き継ぎを行う際に起こり得そうな出来事を再現したり、そこから重要な教訓を引き出すことをターゲットとしました。

内容

レゴ伝言は次のような活動のプロセスで構成されています。

  1. 参加者を複数のチームに分け、回答者を1人決める
  2. チームごとに異なるお題を出題する
  3. アイテムとして「マニュアル」「完成イメージ写真」を1チームずつに渡す
  4. チームごとに分かれて、メンバーがお題に対してレゴで造形する
  5. 前の担当者が作ったものを見て、お題が何かを考え、次の担当者が造形する
  6. 最後のメンバーが作ったものを見て、回答者がお題が何かを答える
  7. チームごとに活動のプロセスについてリフレクションを行う

実施する上で非常に重要なポイントとなるのが、アイテムとして一部のチームにのみ渡す「マニュアル」や「完成イメージ写真」です。このアイテムは最初の担当者のみ使用できるように制限をしておきます。

レゴ伝言の面白いところは、こうしたアイテムを手にしたチームは十中八九、最初の担当者がお題に対して「正しく造形する」という思考の罠に陥ってしまうことです。そうすると伝言ゲームはなかなか成立しません。

逆にお題のみを与えられたチームは「必要最低限のパーツを使って、次の担当者が瞬時に理解でき、再現可能なもの」を作ろうと試みます。

結果、ねらいとしていた通り、それぞれのチームに分かれてリフレクションを行った際に、実際に運営の引き継ぎを行うプロセスの中で適用可能な教訓を得ることができました。

このように、よく設計されたアイスブレーキングは、単に参加者の緊張をほぐす、場をあたためるということだけではなく、その研修やワークショップの本編に対して、重要な共通前提を作ることができます。

 

さて、今回も引き続き、アイスブレーキングをテーマに取り上げてきました。「事例編」ということで、僕自身が過去に実践した2つのアクティビティとその狙いと活動の内容を交えて、整理しました。

ぜひ、今後どこかで研修やワークショップのデザインを行うことがある場合には、今回ご紹介したケースのように、全体のコンセプトや状況からねらいを設定した上で、自前のアイスブレーキングを設計するよう挑戦してみてください。

 

アイスブレーキングを制するものは、ワークショップを制す! 

"As long as you keep on learning, you are a winner."

 

▽参考にした文献

FAJ:特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会 - ツール

2人から100人でもできる! 15分でチームワークを高めるゲーム39

2人から100人でもできる! 15分でチームワークを高めるゲーム39

 

   

▽「アクティブトランジション 働くためのウォーミングアップ」絶賛発売中

アクティブトランジション 働くためのウォーミングアップ

アクティブトランジション 働くためのウォーミングアップ

 

 掲載されているワークショップの運営のお手伝いなどで関わらせて頂いた書籍です。

 

▽「自己紹介」「実践・活動」をまとめました

shumpeioe.hatenablog.jp

shumpeioe.hatenablog.jp