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経営学部で人材育成やリーダーシップ開発、キャリア教育について学ぶ大学5年生のブログ。

前向きリフレクションで上手くいく!? 人材育成担当なら知っておきたいリフレクションのポイント - Learning by いい振り返りを考える。

あっという間に、2016年も今日と明日の2日を残すのみとなりました。連日続いた忘年会も昨日で一段落したところです。

充実した時間を過ごせる忘年会が続いていて、今年も沢山の方々にお世話になったなとご縁に恵まれたことを再確認するいい機会になりました。

忘年会でご一緒させて頂いた皆さん、ありがとうございました!

 

さて、年の瀬という今年1年を振り返る絶好の機会ということもあり、前回に引き続き、いいリフレクションって何なのか?リフレクションを有意義に行うには何に気をつけたらいい?

今日もそのヒントを探してみましょう。 

 

前回のおさらい

shumpeioe.hatenablog.jp

 

前回の記事では、コルブの経験学習モデルを示し、働く大人の学びには、リフレクションを行うことで自分の経験から教訓を得て、他の場面でも応用可能な「マイセオリー」を獲得していくことが重要だと説明しました。

また、リフレクションの中でも「振り返り的省察「見通し的省察とふたつの側面があることを紹介しました。

単純に起こった出来事や自分の行動について振り返るだけではなく、過去を振り返ることに併せて、次にどうするかと想定することが大切なポイントでした。

さしずめ、前回の内容をグッと凝縮すると「未来志向リフレクションのすすめ」といったところでしょうか。

 

しかし、私たちが過ごす職場や学校など、周りの人たちと恊働する環境での経験を振り返る際には、「自分は何をしたか?」「自分は何を考えたか?」といった自分にのみ焦点を当てたリフレクションから、その対象範囲を拡げていく必要があります。

より本質的な気づきをリフレクションから得ていくためには、他者との関わりを前提とした振り返りを行うことをおすすめしたいと思います。

より深い省察となり、新たな洞察が得られることになるでしょう。

 

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コルトハーヘンのALACTモデルと8つの問い

他者との関わりを前提とするリフレクションを行うために取り上げたいものが、コルトハーヘンによるALACTモデルと8つの問いです。

コルトハーヘンは、オランダで教師教育の研究・実践を行う研究者で、学生が実際に教師として現場に出た時に、「教室と現場のギャップに対するショック」や「移行に対するショック」に直面し、深刻なストレスに感じることを問題視していました。

そこで、この移行に対するショックを軽減し、現実に近い形で教師教育を行うプログラムを開発しました。その核となるものが、「実習生として現場で経験したことへのリフレクション」です。

 

コルブの経験学習モデルでは、①実践、②経験、③省察、④概念化の四段階のプロセスが循環していると提唱されているのに対して、コルトハーヘンが提唱するALACTモデルでは、「行為」「行為の振り返り」「本質的な諸相への気づき」「行為の選択肢の拡大」「試行(行為と重なる形)」の循環モデルとして説明しています。

経験学習モデルでは省察、概念化のプロセスが曖昧に語られていたことに対して、「行為の振り返り」「本質的な諸相への気づき」「行為の選択肢の拡大」とその内容をこちらは明瞭に示しています。

 

ここでいう「本質的な諸相への気づき」「行為の選択肢の拡大」は前回登場した「見通し的省察に当たります。

「見通し的省察」が未来志向のリフレクションを行う上で重要であることと同様に、コルトハーヘンのALACTモデルの中でも「本質的な諸相への気づき」から「行為の選択肢の拡大」というプロセスはその鍵と言えます。

コルトハーヘンは「一般に教育実習生や若い教師は『行為の振り返り』から『行為の選択肢の拡大』へ飛んでしまう。安易な『反省』をして次の新しい技術に走りがちである」という事実を指摘する。(上條)

「自分が〇〇をしたところ上手くいったため、次も〇〇をする」「自分が××をしたところ失敗したため、次は◇◇をする」というように、若い実習生などによって安易な振り返りによって教訓を引き出すリフレクションが行われていることの問題を指摘しています。

 

そこで本質への気づきを促すものとして次の8つの問いがあります。

8つの問いとは、行動・思考・感情・欲求という四つの認知段階に対して、「わたしは何をしたか?」「相手は何をしたか?」というように自分軸と他者軸の2軸から振り返りの問いを立て、考えていくものです。

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この8つの問いを用いることで、これまで紹介してきた経験学習モデルや振り返り的省察、見通し的省察では触れられていない他者との関わりを踏まえた上で、自分の経験を振り返っていくことができます。

大阪樟蔭女子大学での教師教育の中で、コルトハーヘンによるALACTモデルを適応し、実践している村井の研究では、その効果を次のように報告しています。

コルトハーヘンの8つの問いを用いたリフレクションを通じて、さらに子どもの内面への考察が深まっていることが見て取れる。当時の状況の中に、自らを今一度投げ入れ、さらに自身の思考・感情・欲求・行動を追体験することで、よりアクチュアルな気づきへと繋がることが明らかになったと言える。(村井)

次にやるとしたら何ができるかという「行動のレパートリー」を増やしていくためには、リフレクションの際に他者の視点を交えて経験当時の状況を考え直すことが効果的、ということです。

 

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ここまで来て、前回からのテーマである「いいリフレクションって何なのか?リフレクションを有意義に行うには何に気をつけたらいい?」というそもそもの問いに立ち戻ってみたいと思います。

前回・今回の内容を踏まえると、次の3つがポイントになるかと思います。

  1. 過去を振り返りマイセオリーを引き出す
  2. 未来のために、次どうするかを前向きな教訓として残していく
  3. 他者との関わりを前提にした振り返りに焦点を拡げる

いいリフレクションをするにはどうしたらいい?という当初の問いに対する一つの答えは、過去の経験を自分軸と他者軸から振り返ることで、改めて自分で追体験し本質的な気づきに迫り、次やるときにはどうするかを未来を見据えた言葉で残していくこと、ではないでしょうか。

 

終わり良ければすべて良し、いいリフレクションで今年を締めくくりましょう!

"As long as you keep on learning, you are a winner."

 

▽参考にした文献

教師教育学―理論と実践をつなぐリアリスティック・アプローチ

教師教育学―理論と実践をつなぐリアリスティック・アプローチ

  • 作者: フレットコルトハーヘン,Fred A.J. Korthagen,武田信子,今泉友里,鈴木悠太,山辺恵理子
  • 出版社/メーカー: 学文社
  • 発売日: 2010/03
  • メディア: 単行本
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教師教育におけるリフレクション養成の具体的技法の開発研究

(上條晴夫, 東北福祉大学研究紀要, 第36巻, p179-192)

エピソード記述と教育的契機の記述による教育実習へのリフレクション

(村井尚子, 大阪樟蔭女子大学研究紀要, 第5巻, p185-194)

コルトハーヘン先生による「リフレクション学」スペシャルワークショップが終わった!:リフレクションという名の「詰問」「教え込み」「だらだらトーク」を超えて! | 東京大学 中原淳研究室 - 大人の学びを科学する

 

▽「アクティブトランジション 働くためのウォーミングアップ」絶賛発売中

アクティブトランジション 働くためのウォーミングアップ

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▽「自己紹介」「実践・活動」をまとめました

shumpeioe.hatenablog.jp

shumpeioe.hatenablog.jp