Learning by Blogging.

経営学部で人材育成やリーダーシップ開発、キャリア教育について学ぶ大学5年生のブログ。

新入社員は「かぶれる」ことで居場所を作る!? 組織社会化の知見から考える新しい環境での過ごし方 -Learning by 〇〇かぶれ。

春です。新年度が始まり、僕の同期たちもほとんどが新卒社員として新たな環境での挑戦をスタートしました。また、在籍する学部では昨日までの二日間、恒例の新入生対象のウェルカムキャンプが開催されていました。

これから始まる新たな環境に対して期待を抱いている反面、同時に新生活に対する漠然とした不安を感じている人も多いかと思います。

僕自身も2012年春の上京した頃を思い出すと、知り合いがほぼ0という環境の中で怯えるような感覚で入学式に参加したことを覚えています。後に気づくのですが、僕は「環境見知り」をする癖があるようで、新しい環境や組織、コミュニティに参加することがどうも苦手です。

そもそも、新しい環境ではどうやって自分の居場所を作ればいいの?不安でいっぱいの知らない場所を安心安全なホームに変えていくには何をしたらいい?

今日はそのヒントを探してみましょう。

 

そのことを考えるにあたって取り上げたいのが、あまり良い意味ではありませんが、「〇〇かぶれ」という言葉です。

「あいつは留学から帰国して以来、アメリカかぶれだ」のように、たいていはある環境での価値観や生活に対して、過度に影響を受けている人を揶揄する際にこの言葉がネガティブな文脈で用いられます。

しかしながら、「〇〇かぶれ」と周囲に煙たがられてしまう人も、裏を返せば、以前に彼・彼女がいた環境に対して順応し、その文脈を素直に吸収したと考えることもできます。また、こうした「〇〇かぶれ」さんの周りには、「〇〇かぶれ」さんが持ち込んだ新しい風が流れ、少し異なる空気を感じることがあります。

この、新しい風を吹かせることこそ、ある環境や組織に対して、新たなに参加する人たちが求められている役割とも言えるのです。

 

組織社会化研究を行う研究者たちによって1994年に行われた調査によると、これまで企業が育成、確保することを重視してきた人材は、「職場でチームワークを尊重することのできる人材」「指示を正確に理解し行動できる人材」となっているのに対し、今後企業が育成、確保することを重視する人材は、「指示されたことだけではなく、自ら考え行動することのできる人材」と変化し、外部環境の変化に適応するため、組織に自己変革を促す個人を求めていることがわかりました。 

つまり、現代においては、企業に所属する個人に対しても、革新行動、すなわち新しい風を吹かせる行為が求められていると言えます。

 

では、どのような人たちがこうした革新行動を実践しているのか。二つの考え方を示したいと思います。

一つ目は、革新行動の源泉となる新しい知識や情報は、別の場所から、ミュータント(異端者)によって持ち込まれるという考え方です。

すなわち、新たな知識や情報は生み出されるわけではなく、「外部から持ち込まれる」という視点です。

続いて二つ目は、革新行動を実現するために、その正当性や移動先の文脈に合うように、外部から持ち込まれた知識や情報を変換、翻訳するなどの必要があり、そのためには新たな環境に馴染んでいくための学習が必要となるという考え方です。

要は、外部から新たなものを持ち込む際には「チューニング」が必要であり、新しい環境についてよく理解していなければチューニングは円滑に行えない、ということです。

つまり、組織やコミュニティが自己変革を行うために求められている、新しい風を吹かせるためには、「〇〇かぶれ」さんが、新しい知識や情報を外部から持ち込み、新たな環境に再度かぶれていきながら、チューニングを行うことが重要なのです。

 

ここまで来て、「新しい環境ではどうやって自分の居場所を作ったらいい?」という、そもそもの問いに立ち返ってみましょう。新しい環境への参入後に学習・達成しなければならない内容にはどのようなものがあるのでしょうか。 

f:id:shumpeioe:20160404134630j:plain

これまでに行われてきた組織社会化研究から5つの視点を引き出すことができます。

  1. 価値観:組織について、組織の価値の学習、新しい価値
  2. 人間関係:職場集団について、仕事集団とその規範への適応、新しい関係
  3. スキル・知識:職務の遂行に必要とされる技能と知識、職務に必要な技術と能力
  4. 自己認知:個人の変容について、アイデンティティ、自己イメージ、新しい自分像
  5. 行動様式:役割に関して適切な行動、新しい行動様式

「新しい環境ではどうやって自分の居場所を作ったらいい?」という、そもそもの問いに対する一つの答えは、その環境で大切にされている価値観を学ぶ、新しい人間関係を築く、その環境の中で必要とされる知識や技術を身につける等の行為を通して、自ら意識的に新しい環境に対して「かぶれていく」こと、ではないでしょうか。

 

新入社員や新入生の皆さん、「戦略的」会社かぶれ、大学かぶれでいきましょう!

"As long as you keep on learning, you are a winner." 

 

▽参考にした文献

教え上手は、学ばせ上手!: 「“組織社会化”に関する論文の要点まとめ」

せきねまさひろぐ: 「組織社会化」に関する論文のまとめ(2)

新卒採用者と中途採用者の組織社会化に関する比較研究

Organizations Socializations: Its Content and Consequences

 

▽「アクティブトランジション 働くためのウォーミングアップ」 予約受付中

掲載されているワークショップの運営のお手伝いなどで関わらせて頂いた書籍です。